通気性とは何か?
最前線の作業員が防護服を選ぶ際には、防護レベルだけでなく、着心地の良さも考慮する。快適な衣服であれば、着用者はより長く着用することを厭わず、より長い時間防護を続けることができる。防護服には、快適性に関連する多くの要素がある。快適性の最も重要な要素は生地の通気性である。
生地の通気性について語るとき、それは通常、湿気を吸収し、肌から放出する生地の能力を意味する。生地が空気や湿気を通す度合いである。したがって、通気性が高い生地ほど、透湿性も高くなる。
防護服としての通気性生地の利点は?
人間の体には3つの放熱方法がある。
- 水分(汗)が蒸発する。水蒸気とともに体から熱が奪われ、皮膚表面は涼しくなる。
- 対流と伝導。熱は皮膚に接触している空気や他の物質に奪われる。
- 放射。熱は赤外線(IR)放射によって放出される。

防護服の生地によって体温が遮断されることがある。通気性のある生地であれば、気化した汗は生地を通り抜けやすく、肌をドライに冷却することができる。これが、水分の蒸発が体温を発散する最も効率的な方法である理由だ。
一方、防護服の目的は、危険物質を衣服の外に出さないことであり、その中には液滴や蒸気も含まれることがある。防護服の生地の種類によっては、防護レベルを上げるために通気性をあえて低下させている場合があり、現場の作業者が防護服の着用をためらう状況になっている。そのため、通気性の良い生地を使用した防護服を選ぶことは、着用者にとって非常に重要である。
通気性の測定方法
布地を通過する水蒸気の透過率を測定する多くの試験方法がある。そのどれもが、布地の両面の間に試験システム内の湿度勾配を作ることに依存している。生地の透湿性は一般的に、水蒸気透過率(MVTR)と繊維の蒸発抵抗(Ret)の2つの指標で測定されます。
水蒸気透過率(MVTR)
通気性の値は、生地を通過する水蒸気の量を測定することによって計算され、水蒸気透過率(MVTR)として報告される。数値が高いほど水蒸気と湿気の除去が優れていることを示す。MVTRは、定められた温度と湿度の下で、一定期間(通常は24時間)、1平方メートルあたりのグラム数(g/m2)として報告される。
一定時間経過後の体重変化を測定する方法である。MVTRの測定方法には、直立カップ試験と倒立カップ試験の2種類がある。JIS L 1099、JIS Z 0208、ISO 2528、ASTM E96とも呼ばれます。

繊維の蒸発抵抗(Ret)
Retテストは、テスト対象の生地の蒸発抵抗と、その生地に余分な熱が加えられたときの水分損失を測定します。繊維の蒸発抵抗性とは、与えられた生地が蒸発に対して示す抵抗性のレベルを指し、Ret値が低いほど通気性が良いことを意味する。
Ret試験法はMVTR試験とは若干異なる。ISO 11092またはホーエンシュタイン試験とも呼ばれる。生地を焼結金属板の上に置き、加熱した水を金属板に流して汗をシミュレートする。生地のRet値に基づいて、快適性評価システムが考案された。
レト値の快適性評価システム
0 – 6 | 極めて高い通気性。高い活動率でも快適。 |
6 – 13 | 通気性は良好から非常に良好。適度な運動量で快適。 |
13 – 20 | 通気性は満足~許容範囲。活動量が多いと不快。 |
20 – 30 | 通気性は不満足かややあり。低活動率では中程度の快適さ。 |
30 + | 通気性が悪い。着心地が悪く、許容時間が短い。 |
結論
最前線で働く作業員の防護服を選ぶ際には、防護レベルだけでなく、通気性も重要である。防護服にとって通気性は2つの意味で重要である。第一に、通気性のある生地は蒸気の湿気を拡散させ、作業中のオーバーヒートを防ぐ。
第二に、快適さを保つために空気を通すことである。生地の快適さは、体から出る水蒸気を伝え、肌に水分(汗)が溜まるのを抑える機能に左右される。衣服内の湿度が低ければ低いほど、快適さは増す。
危険な環境での活動では、適切な保護レベルの防護服を選ぶだけでなく、MVTRやRet Valueも考慮する必要があります。安全性と通気性の両方を兼ね備えた適切な防護服を選ぶことで、作業中に大きな違いが生まれます。